2014.11フランス

IMG_1866      恒例冬のブルゴーニュツアー(201411)

 

夏ごろに、当店の強みとする「ブルゴーニュ」と「三ツ星レストラン」のツアーを立案、募集をしました。しかし参加者、ゼロ。昨年まではLameloiseで生産者を招いて誕生会をしていましたが、今回は諸般の事情で中止。フランス行きも中止すればよかったのですが、ユベール氏の墓参りとブルゴーニュのヘリコプタ―見学をしたかったので行くことに・・・。。

「パリのグラン・ターブルはさながらアメリカンフットボールのコート」

また、いろいろ情報を収集していると、パリの三ッ星界ではいろいろな動きが。ムーリスにアランデュカスが移ったのは、ご承知のとおり。ムーリスのヤニック・アレノはルドワイヤンに、ルドワイヤンのクリスチャン・ル・スケールはジョルジュ・サンク・ホテルのル・サンクに、ル・サンクのエリック・ブリファードはシャングリ・ラのラベイユに、ラベイユのシェフは・・・、といった具合に。知合いのラムロワーズのオーナーは「まるでアメリカンフットボールのようだ」と言っていました。そしてじっとしているわけにはいきません。

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ということでまずは馴染みのシェフの追っかけをすることに。ル・サンク。シェフの以前のレストラン・ルドワイアンでは20回食事。パリでは最も馴染みのレストランでした。支配人とも懇意の仲に。しかしシェフがヤニックに代わっては、なかなか関係を築くのは困難です。クリスチャンには申し訳ありませんが、ヤニックでは「ビッグ」過ぎます。そんなこんなで4年ぶりのル・サンクに・・・。ホテル全体のクリスマス装飾が赤一色。派手です。いつものように恐る恐るシャンパーニュを頼み、メニュを見る。コースが310ユーロ。「お前もか!」今や殆どのグランメゾンではコースは300ユーロ(約45,000円)超が当たり前です。ワインを加えたら・・・、とても庶民には、恐ろしいことです。前菜をはずし、魚(鱈)とおすすめの肉(らいちょう)を注文。そして「今日はル・スケール・シェフはいるの?」「ええ、いますよ」あとで挨拶しよう。

ワインは、グラスで白、赤1杯ずつ。白はミッシェル・ニーロンのシャサーニュ・モンラッシェ。「テイスティングを」「はい。」一口、「んっ?・・・、これはこういうものですか?それとも状態のせいですか?」ソムリエ「お気に召さなければ代えます」「いやあなたがこれで問題ない、とおっしゃるなら、頂きます」「いえ、これは、代えます。代えます。」といってムルソーを持ってきた。「どうぞ」一口、皆が私を凝視・・・、「ん、いいんじゃないですか」支配人ともども大げさに安堵。

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そしてアミューズ(ルドワイヤンにそっくり)、鱈、ライチョウを食べ終わったころ、突然肩を叩くものが、「へっ」と振り向くと「へ~イ、ムッシュー、オオタ!」と、シェフ、クリスチャン・ル・スケール氏が。「ああ、こっちに移ったって聞いたのできたよ」「ありがとう」と本当に喜んでくれました。料理は当然ルドワイヤン風に。しかしル・サンクの料理がエレガントな感じだっただけに、馴染むまでは時間がかかるかもなぁ、と感じたのでした。

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翌日ランチは彼の古巣のルドワイヤンに。ヤニック・アレノに代わってから2回目。前回は変更後1週間だったためか、まだルドワイヤンの名残があったが、今回はすっかりヤニック・アレノ風に。ル・スケール氏のややガッツリ系から非常にキレイで繊細になっていた。お客の評価がまたれるところだ。なお、シェフパティシエだった二コラ・グラ氏も退店していて、近いうちにカフェを併設したショコラティエをオープンする予定とのこと。期待される。

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「大きな車は苦手だって・・・。」

その後、ブルゴーニュへ移動、ディジョン駅で4社レンタカーが並ぶ、一番奥のユーロップカーのカウンターへ。予約書を見せ、「お願いします」。カタカタカタ・・・。「早くしてほしいなぁ」「ムッシュー・オオタ、車はありません」「はぁ・・・。」「ご予約は昨日ですでにキャンセルされています」「そんなことはない」と予約書のコピーを見せる」「ほらここに昨日の日付が・・・。」「・・・・、ショック!で・・・、車はありますか?」「ありません。お気の毒に」ホテルへいけない・・・。今回は街中でなく、郊外のコテージを予約していた。では、と1つ手前のレンタカー会社に、「車あり

IMG_1971(愛車BMWと今回のお宿)

ます?」「残念ながらありません」「・・・」次のカウンターへ「車あります?」「はい、ありますよ」「よかった~」「BMWになります」「・・・・。い、いくらですか?」「三日間で400ユーロです」「よかった、思ったほど高くはない」「じゃぁ、それで」「お客様はラッキーです」「???」「新車です。お客様が初めてのドライバーです」「・・・。」いやな予感が・・・。「免責補償は1600ユーロ上限でそれ以上はお客様の負担です。」「・・・。」スペイン、サン・セバスチャンで新車のドアを思いっきりこすったことを思い出す。あの時は全額免責だった。緊張の中、借りる。走行距離12キロ。初めてのBMW。しかしさすがにFIAT500とは違う。スピードが出る。コーナリングが安定している。やばい・・・。思わず自らの無事を祈る・・・。

「扱いは著名生産者並?」

ブルゴーニュ初日、1つ星BENATONのシェフと新しくできた和食「La Luna」へ。入るとHubert LamyOlivierがいた。「やぁ、ムッシュー・オオタ、ル・サンクとルドワイエンに行ったんだろう。どうだった?」「いやぁ、シェフが替わると料理も変わるねぇ」と、隣を見るとコント・ラフォンのドミニクが、少ししてニコラ・ポテルが・・・。さすがにボーヌ、いたるところに著名生産者がいる。オリヴィエが持ちこんだワインを「ムッシュー・オオタ、何年か当ててみろ。」「う~ん、2010年?」「2005年だよ」「へぇ~、フレッシュだね」とそのやり取りを二コラ・ポテルともしたらしい。翌日のユベール・ラミー訪問で、オリヴィエが別の訪問客に「昨日2005年のブラインドをしたんだけど、ムッシュー・オオタもニコラ・ポテルも2010年っていうんだ。やはり2005年は力強いねぇ」「・・・」私をニコラ・ポテルと同列に話している・・・・。

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「興味のない人から見たらただの畑」

翌日、今回の目的のひとつ、「畑を巡るヘリコプター」に乗った。午前中は久々の雨だったらしいが、搭乗の3時には何とか晴れ、いざ出発、人生初ヘリ、少し緊張、しかし乗ってみると、なんてことはない。ボーヌを出発し、ニュイ・サン・ジョルジュ、ヴォーヌ・ロマネ、シャンボール・

RC(写真左屋や下側がロマネコンティの畑)

ミュジニー、ジュヴレイ・シャンベルタン、そしてUターン、オート・コート・ド・ニュイの上を通過して、帰着。約20分の旅。上から見る畑は非常に興味深く、まさに地図を上から眺めているようだ。区画も驚くほどはっきりとし、是非皆さんも試してみては。

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その後11月に逝去されたユベール・ド・モンティーユ氏の墓参りに。多くの献花の端に花を供えた。我々にも非常に親しく接してくれた偉大なるブルギニヨン。追悼。

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「ダメ出しは覚悟の上で・・・。」

ディナーはわが食堂ラムロワーズへ。オーナーが今年50歳になったというので、拙作「在原業平の能面」をプレゼント。「稀代の色男」といわれた彼の説明をするがわかったのか、わからないのか。まあ、いずれにしても日本文化理解のきっかけになれば・・・。この日はオマールと仔牛をチョイス。オマールを終え、仔牛に。一口、「んっ?」もう一口、断面をよく見る。「これはい

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けません」明らかに焼すぎ。パサパサ。支配人を呼んで「確かロゼで焼いて、って頼みましたよねぇ」「あっ、いけませんか?」「いけませんか?、って。これ見てよ」「すぐに焼き直します」「そうしてよ」少しして「時間が少々かかりますので、こちらを」と小さなサービスがでる。やや満腹になる。改めて仔牛が出る。一口、「んっっ?」よく見る。またサービスに「もう、変えてとは言わないけど、これもいけないねぇ」「えっ、まただめですか?」「これ見てよ」と断面を見せる。「いけませんかぁ」「だめでしょ!食べるけど」「もう一度焼き直しましょうか?」「もういいよ、これ食べるよ」とは言うものの、かなり苦しい。しかしダメ出しをした以上、カッコよく終わりたい。結局肉は1.3人前ほど、さらに小さいながらもサービスの一皿。何とか完食。苦しい・・・。

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(L’équipe La Table, ではなくL’équipe Lameloise)

「仲良し?オーベール・ドゥ・ヴィレーヌ氏」 

翌日いつものように何件かの生産者に私の誕生日記念品(日本の味・とろろ昆布)を届けがてら挨拶に、最後にブーズロンのロマネ・コンティ、オーナー自身のドメーヌへ。そこの責任者ピエールを訪ねて。門を入ると一人の男性が出てきた。暗闇でよく見えないが、作業の人か?「すみませんピエールはいますか?」「いやいない、出かけているよ」はっ、とよく見るとオーナーのドゥ・ヴィレーヌ氏。「あ、あ、どうも、太田です」「あ~、ムッシュー・オオタ、いつもパーティの招待貰っていて、行けなくて申し訳ないねぇ」「いえいえ、お忙しいのは十分承知ですから。ピエールにちょっとお土産があるんですが・・・。」「じゃぁ、事務所で・・・。」と。最後に、久々に一緒に写真を「あ~、来てよかった」(DRCとの約束で写真が掲載出来ないのは残念です)

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次回は4月のパリのブルゴーニュワイン発表会になりそうです。

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