2013年11月25日
4カ月ぶりフランスです。何年も来ていなかったような気がします。
今年の5月に今年の三ツ星を訪問し、現在行ってみたい三ツ星もこれといってありません。しかし1軒だけどうしても行きたい2つ星がありました。
”Jean-François Piège”
今最もフランスで注目されている料理人。ホテルクリヨンのL’ambassadeurで名声を上げ、一つ星を飛び出し、自分の店(といってもThoumieuxグループ)で2つ星を獲得した若きシェフ。
かつてない期待を持って、まず予約。「来月の予約をしたいのですが・・・」「早すぎます。予約は2週間前からになります」初めての経験です。余程の自信があるのでしょう。
いよいよ当日。入口に看板もありません。1階にビストロがありその脇のドアから2階へ。まず案内された席に座るが、テーブルにはクロスもないので、「ダイニングはどこ?ここはウェイティングサロン?」椅子も半分はソファー。ヨーロッパのお金持ちのリビング(映画でしか知りませんが・・・)の天井を低くし、応接セットをたくさん配置した感じ。椅子が深い。太めの私には座り心地が悪い。
サービスの女性が来て、クロスをかける。「そういうこと・・・。ここダイニングなんだ・・・」みているとテーブルの大小関係なく、客が席につくと、クロスをかける。必要なだけかけるのか思えば、満席なのに・・・。
暖かいオードブルと冷たいオードブルから、確かに見た目や工夫は楽しいものがあります。しかし味は・・・???。
メインの2品。やはり太田といえばオマール。「えっ、これだけ」何処に身があるのか。一口です。そして仔牛。「これがフランスで最も注目されているシェフのキュイッソン(焼き方)?」パサパサです。
最後のプチガトーはチョコレートを卵状にしたもの。それをいきなり、テーブルに叩きつけ、割れて中身のナッツが散らばる。そして「(拾って食べて)お楽しみください」「・・・。」テーブルに散らばったナッツやチョコレートを拾って食べる。「悲しい・・・。」
最も驚いたのは、SAINT-AUBAINの友人の白ワインHubert Lamy(市場で30ユーロぐらい)を頼んだら、グラスがリーデル・ブルゴーニュのソムリエシリーズだった。(ものすごく大きな金魚鉢のようなグラス、通常高級赤ワインに使う)なんでもありか・・・。
(三ツ星でも一切みたことのないリーデル社のソムリエシリーズ(当店はもちろん使っていますが))
最後にシェフと写真を取りたい、と伝えたところ、「出かけました。戻ってきません」最初30分ぐらいいたが、取材で出かけてしまった。自分で作っていない。
( フォーク1本8万円とも10万円ともいわれる”Puiforcat” こんなカトラリーを使って採算がとれるのだろうか。)
“Jean-François Piège” 残念ながらもはや注目に値しません。2つ星になり、注目を浴び、料理を忘れてしまったようです。2つ星では2番手も成長していません。おそらく流れ作業で調理しているのでしょう。頂点を見ずして、下り坂に入ってしまった“Jean-François Piège” ・・・。今一度、料理、そしてお客と向き合ってくれることを願っています・・・。反面教師として頑張ります。
ちなみにこの日のムニュのタイトルは「食べる芸術」・・・。
<2つの期待外れ>その②
今回も恒例のバースディパーティをLameloiseで開催。それに先立ち今回は当店の非常勤ソムリエも同行したので、何件かドメーヌを訪問。
まずDugat-Pyに立ち寄り、手土産の和菓子をプレゼント、いつもお返しにワインをくれます。「わらしべ長者」になったような気分です。Perrot-Minot、A.et.P. de Villaine で軽く試飲、Jacques Carillon、Ramonet、そして翌日Bouchardで西山氏にお世話になり、D.R.C., Méo-Camuzetで来春購入の話を約束し、Hubert Lamyで終了。
しかし今回も違います。D.R.C.の対応が・・・。今までは忙しくてもちょっと待てば会ってくれました。今年の夏からは会ってもくれません。不安がよぎります。来年は訪問しなければならない。できるのか・・・。単に忙しいからなのだろう。そう信じたい。
三日目、Etienne SauzetとLeflaiveで試飲、夜はメインイベントのバースディパーティです。今回は9回目。ほぼ常連の方とのパーティになりつつあります。Jean-Luc Pépin氏(de Vogüé)、Olivier Lamy氏(Hubert Lamy)、Michel Lafargeからは 今回は初めて3名で参加してくれました。さらにBouchard西山氏が結婚後、初参加、奥様とご一緒に・・・。皆でお祝いしました。そしてブルゴーニュの重鎮Hubert de Montille氏。最近は毎回参加してくれます。
挨拶のスピーチ、「今回は話す内容が豊富だから、準備はそこそこにでいいか」と臨む、またもやアタフタ、情けないばかりです。しかし皆は「今回は非常に楽しい会だった。今までで一番だった」と大喜び。「何か違ったかな?」喜んで頂いて何よりです。
しかし少しマンネリです。何か変化がほしい・・・。次回要検討です。
最終日VogüéとMichel Lafargeの試飲を終えて、ディナーはブルゴーニュ・ボーヌの名店Ma Cusine. そこで驚きが・・・。日本からの参加者2人と、最後だからとVogüéの2005年Chambolle-Musignyを注文。すると一人が「太田さん、あれっ!」、振り向くと、デキャンタされた赤ワインが・・・。「まさか、ブルゴーニュでデキャンタ?」それも何も聞かずに。「違うでしょ」といっていたら、デキャンタされた瓶から我々のグラスに・・・。「あの~、デキャンタしたんですか?」「ええ、そうですけど、何か?」「・・・。」当たり前のような返事に声もでません。ブルゴーニュの「名店」といわれているところで、デキャンタしている・・・。大変勉強になりました・・・。(※デキャンタ・・・ワインに空気を含ませるために瓶からガラス容器に移し替えること。殆どの生産者が「ブルゴーニュのワインはデキャンタするな」とアドバイスする)
その③もうひとつの期待外れ
全日程を終え、無料のファーストクラスに乗るためにパリに1泊。「今回はあまりグランメゾンにいかなかったなぁ。(夜6時の便まで)することないし、そうだリーズナブルでそこそこおいしいSENDERENSに行こう」ということで、4年ぶりに2つ星SENDERENSに。
メニュを見る、「あれっ、高くなった」ランチコースはそれほど変わらないが、アラカルトで一皿30ユーロ程度だったものが、60ユーロ程に。考えた末「アーティチョークのリゾット風」、「オマール」、初「うさぎ」をアラカルトで注文。
料理がでる。食べる・・・。「何っ、これっ!」感動です。素晴らしくうまい!、おいしいではなく、まさに「うまい!」。久々です。チョコレートのデザートも本当に「うまい!」心からシェフに会いたくなりました。厨房に案内されて、シェフに・・・、若い・・・。「ここにきてどのくらいですか?」「ん~、一か月かな」Julien Dumas、アランデュカスのもとで修業し、Jean-François PiègeのL’ambassadeurでスーシェフをしていた。師匠を超えるのも時間の問題、次世代の台頭、嬉しく思いました。今フランスで最も注目されるべきシェフでは・・・。本当に、嬉しい期待外れでした・・・。